通りすがりの俺様




「今日は送ろう」
と一階の渡り廊下で会った一鷹が言う。

 網代木たちとまだ一緒にいたこともあり、
「大丈夫ですよ」
といずるは断った。

 だが、一鷹は外を見て、
「さっき、サンバイザーで顔全体を覆った怪しい女を見た。
 お前を狙っている(やから)かもしれん」
と言い出す。

 ……その人は日焼けしたくない保険のおばちゃんです。

 その様子を腕組みして眺めていた網代木が動いた。

「じゃあ、お疲れ様です」
と言いながら、網代木はさりげなく、いずるの足を踏んでいく。

 だがまあ、最初のころとは違い。
 それで許してやろうという風にも見えて、いずるはおとなしく踏まれていた。

 だが――。

「お疲れ様です」
とみんな笑顔で、さりげなく、いずるの足を踏んでいく。

 むしろ、網代木のが一番痛くなかった。

「お疲れ……」

 微笑みながら、小野寺もいずるの足を踏もうとしたが、距離感に問題があったのか、踏めなかった。

 とん、とそれた位置に足を置いてしまう。

「鳴沢っ」