通りすがりの俺様

「水内さんのことはピュアに好きだけど。
 でも、水内さんがあんなイケメンじゃなくて、資産家の息子じゃなくて、仕事ができなかったら、そんなに好きじゃないかも」

 あの、それはもう水内さんではないのでは……?

 でも、私が水内さんの何処が好き――

 ああいや、男の人として好きかはわからないけど。

 人間的に好きなのは、それらのポイントじゃないかなとは思う。

 じゃあ、何処なのかと問われると、やっぱりわからないのだが。

 そういえば、水内さんは私がスタンプの白くて丸いものに見えたり、クマに見えたりするらしい。

 そういえば、私の中では……

 水内さんはスマホに標準装備のスタンプになっている。

 というか、水内さんが水内さんの文章とともにそのスタンプを打ってくるせいで。

 あのスタンプまで、人の話を聞かない俺様に見えてくるというか。

 あ、俺様って言っちゃった、
といずるが思ったとき、網代木に、

「ちょっとっ!?
 あんたまた人の話聞いてないわねっ?」
と言われてしまった。

「え? 聞いてますよ」
と笑顔で言ったが、

「……あんたが万が一にも出世して、私の上司とかになったら怖いなって。
 なんか今思っちゃったわ」
と網代木は言う。