ホテルの怖い話短編集

「なぁおいお前! アヤナをどこへやった!」
男の血走った眼が吊り上がる。
「し、しらな……っ」
返事をするより先に胸倉を掴まれていた。
喉が詰まって声がでない。
男が右手をズボンのポケットに突っ込むと、ナイフを取り出した。
「ヒッ!」
「しらばっくれんじゃねぇよ!」
刃先が月光によって怪しく輝く。
それが私の頸動脈を切り裂くまで、さほど時間はかからなかった。