第八話 帰り道、松宮くんの話
「ねえ、りん」
「ん?」
学校を出て、二人で並んで歩く。
綾花は少し歩いてから、さっきから気になっていたことを口にした。
「さっき、松宮くんと何話してたの?」
「んー?」
「秘密って言ってたじゃん」
「うん、言ったね」
「何話してたの?」
「秘密」
「えー、教えてよ」
「やだ笑」
「りんのケチ」
綾花が少し頬を膨らませる。
凛花はそんな綾花を見て笑った。
「そんな気になる?」
「だって気になるじゃん」
「ふーん」
「なに?」
「別に?」
少し歩いてから、綾花がふと思い出したように口を開く。
「そういえばね」
「ん?」
「昨日、松宮くんと帰ったじゃん?」
「うん」
「そのときね」
「うん」
「松宮くんが『俺のこと好き?』って聞いてきたの」
「……それ、さっきも聞いたよ笑」
「そうだっけ?」
「うん」
「じゃあ、その続き!」
綾花は楽しそうに笑う。
「私が『好きだよ』って言ったら、松宮くん、すっごい驚いてたの」
「そりゃ驚くでしょ」
「『え!?』って」
「ふふっ」
「それで私が『後輩としてね』って言ったら」
綾花は思い出したように笑う。
「『先輩ずるい』って言われた」
「ふふふっ」
「ほんと面白かったんだよ」
「うん」
「松宮くんって、いつもあんなこと言ってくるのに、私がちょっと返したらすぐ顔に出るんだよね」
「へえ」
「なんか可愛くない?」
「……あや」
「ん?」
「松宮くんのこと、可愛いって思ってるの?」
「え?」
綾花は少し考える。
「うん。可愛い後輩だよ?」
「……まあ、そうだよね」
「何?」
「なんでもない」
「変なの笑」
綾花はまた歩きながら話し始める。
「あとね、松宮くんって結構優しいんだよ」
「へえ」
「昨日もちゃんと私の話聞いてくれたし」
「うん」
「歩く速さも合わせてくれたし」
「……」
「それに、話してると楽しいんだよね」
「そんなに?」
「うん!」
綾花は即答する。
「松宮くん、ほんと面白いから」
「そっか」
「あとね」
「まだあるの?笑」
「あるよ笑」
「どんだけ話すの」
「だって昨日の話、まだあるもん」
綾花は笑いながら続ける。
「松宮くんって、私のことすごい褒めてくるの」
「例えば?」
「可愛いとか」
「うん」
「先輩、今日も可愛いですね、とか」
「……それ、結構言われてるね」
「うん」
「で、あやは何て返すの?」
「ありがとうって」
「それだけ?」
「うん」
「ふふ」
凛花が笑う。
「何?」
「いや、あやらしいなって」
「?」
綾花は首を傾げる。
「でも」
凛花が少しだけ綾花を見る。
「嬉しいんでしょ?」
綾花は少し考えてから、
「……うん」
と答えた。
「松宮くんに褒められるの、嬉しいよ」
「そっか」
「なんかね」
綾花は少し笑う。
「松宮くんがいると、楽しいんだよね」
凛花は何も言わずに笑った。
「……まあ、いいんじゃない?」
「何が?」
「松宮くんと仲良くなるの」
「うん!」
綾花は嬉しそうに頷く。
そして少し歩いたところで、
「あ、そういえばね」
「まだあるの!?」
「あるよ笑」
「もう、あやの口から松宮くん何回出てくるの笑」
「だって話したいんだもん」
「はいはい」
二人の笑い声が、夕方の帰り道に響いた。
凛花はそんな綾花を見ながら、心の中で小さく笑う。
――本人だけが、まだ気づいてないんだろうな。
「ねえ、りん」
「ん?」
学校を出て、二人で並んで歩く。
綾花は少し歩いてから、さっきから気になっていたことを口にした。
「さっき、松宮くんと何話してたの?」
「んー?」
「秘密って言ってたじゃん」
「うん、言ったね」
「何話してたの?」
「秘密」
「えー、教えてよ」
「やだ笑」
「りんのケチ」
綾花が少し頬を膨らませる。
凛花はそんな綾花を見て笑った。
「そんな気になる?」
「だって気になるじゃん」
「ふーん」
「なに?」
「別に?」
少し歩いてから、綾花がふと思い出したように口を開く。
「そういえばね」
「ん?」
「昨日、松宮くんと帰ったじゃん?」
「うん」
「そのときね」
「うん」
「松宮くんが『俺のこと好き?』って聞いてきたの」
「……それ、さっきも聞いたよ笑」
「そうだっけ?」
「うん」
「じゃあ、その続き!」
綾花は楽しそうに笑う。
「私が『好きだよ』って言ったら、松宮くん、すっごい驚いてたの」
「そりゃ驚くでしょ」
「『え!?』って」
「ふふっ」
「それで私が『後輩としてね』って言ったら」
綾花は思い出したように笑う。
「『先輩ずるい』って言われた」
「ふふふっ」
「ほんと面白かったんだよ」
「うん」
「松宮くんって、いつもあんなこと言ってくるのに、私がちょっと返したらすぐ顔に出るんだよね」
「へえ」
「なんか可愛くない?」
「……あや」
「ん?」
「松宮くんのこと、可愛いって思ってるの?」
「え?」
綾花は少し考える。
「うん。可愛い後輩だよ?」
「……まあ、そうだよね」
「何?」
「なんでもない」
「変なの笑」
綾花はまた歩きながら話し始める。
「あとね、松宮くんって結構優しいんだよ」
「へえ」
「昨日もちゃんと私の話聞いてくれたし」
「うん」
「歩く速さも合わせてくれたし」
「……」
「それに、話してると楽しいんだよね」
「そんなに?」
「うん!」
綾花は即答する。
「松宮くん、ほんと面白いから」
「そっか」
「あとね」
「まだあるの?笑」
「あるよ笑」
「どんだけ話すの」
「だって昨日の話、まだあるもん」
綾花は笑いながら続ける。
「松宮くんって、私のことすごい褒めてくるの」
「例えば?」
「可愛いとか」
「うん」
「先輩、今日も可愛いですね、とか」
「……それ、結構言われてるね」
「うん」
「で、あやは何て返すの?」
「ありがとうって」
「それだけ?」
「うん」
「ふふ」
凛花が笑う。
「何?」
「いや、あやらしいなって」
「?」
綾花は首を傾げる。
「でも」
凛花が少しだけ綾花を見る。
「嬉しいんでしょ?」
綾花は少し考えてから、
「……うん」
と答えた。
「松宮くんに褒められるの、嬉しいよ」
「そっか」
「なんかね」
綾花は少し笑う。
「松宮くんがいると、楽しいんだよね」
凛花は何も言わずに笑った。
「……まあ、いいんじゃない?」
「何が?」
「松宮くんと仲良くなるの」
「うん!」
綾花は嬉しそうに頷く。
そして少し歩いたところで、
「あ、そういえばね」
「まだあるの!?」
「あるよ笑」
「もう、あやの口から松宮くん何回出てくるの笑」
「だって話したいんだもん」
「はいはい」
二人の笑い声が、夕方の帰り道に響いた。
凛花はそんな綾花を見ながら、心の中で小さく笑う。
――本人だけが、まだ気づいてないんだろうな。



