放課後。
日向は部活を終えて、昇降口へ向かっていた。
すると、見覚えのある後ろ姿が目に入る。
「……先輩?」
綾花だった。
一人で靴を履き替えている。
「先輩」
声をかけると、綾花が振り返った。
「あ、松宮くん」
「一人ですか?」
「うん。りん、今日は用事あるんだって」
「じゃあ、俺と帰りません?」
「いいよ」
「……え、いいんですか?」
「うん。なんで?」
「いや、もっと断られるかと思って」
「なんで?笑」
「先輩、俺のこと警戒してるかなって」
「全然してないよ」
「……それはそれで複雑だな」
「ふふっ」
二人で昇降口を出る。
並んで歩きながら、日向はちらっと綾花を見る。
「先輩」
「ん?」
「俺のこと、どう思ってます?」
「どうって?」
「俺のこと好き?」
綾花は少しも迷わなかった。
「好きだよ」
「え!?」
思わず日向が立ち止まる。
綾花も足を止めて、きょとんとする。
「え、何?」
「いや……」
日向の顔が一気に明るくなる。
「今、好きって言いました?」
「言ったよ?」
「え、マジ?」
「うん」
「……俺のこと?」
「そうだよ?」
日向は完全に舞い上がっていた。
――やっと。
やっと先輩が自分のことを――。
「後輩としてね笑」
「…………」
日向の動きが止まる。
綾花は楽しそうに笑っている。
「松宮くん、ほんと面白いね笑」
「……先輩」
「ん?」
「ずるい」
「え?」
「今のはずるいって」
「何が?笑」
「俺、普通に本気で喜んだんですけど」
「ふふ、ごめんごめん」
「絶対思ってないでしょ」
「思ってるよ笑」
「……ほんとかな」
日向は少し拗ねたように笑った。
綾花はそんな日向を見て、また笑う。
「でも、松宮くんのこと好きだよ?」
「……」
「面白いし、話してて楽しいし」
「……先輩」
「なに?」
「それ以上言ったら、俺ほんとに勘違いしますよ」
「え?」
「なんでもないです」
日向は前を向いた。
――やっぱり。
この人には敵わない。
チャラい言葉ならいくらでも言える。
女の子を口説くことだって、今まで何とも思わなかった。
なのに。
この先輩に「好き」と言われただけで、本気で嬉しくなって。
「後輩として」と付け足されただけで、こんなにも悔しくなる。
「……絶対、振り向かせよ」
「ん?何か言った?」
「何も」
「ふふ、変なの」
綾花が笑う。
その笑顔を見ながら、日向も笑った。
まだ、先輩にとって自分はただの後輩。
それでも。
いつかその「好き」を、違う意味に変えてみせる。
そう、心の中で決めた。
日向は部活を終えて、昇降口へ向かっていた。
すると、見覚えのある後ろ姿が目に入る。
「……先輩?」
綾花だった。
一人で靴を履き替えている。
「先輩」
声をかけると、綾花が振り返った。
「あ、松宮くん」
「一人ですか?」
「うん。りん、今日は用事あるんだって」
「じゃあ、俺と帰りません?」
「いいよ」
「……え、いいんですか?」
「うん。なんで?」
「いや、もっと断られるかと思って」
「なんで?笑」
「先輩、俺のこと警戒してるかなって」
「全然してないよ」
「……それはそれで複雑だな」
「ふふっ」
二人で昇降口を出る。
並んで歩きながら、日向はちらっと綾花を見る。
「先輩」
「ん?」
「俺のこと、どう思ってます?」
「どうって?」
「俺のこと好き?」
綾花は少しも迷わなかった。
「好きだよ」
「え!?」
思わず日向が立ち止まる。
綾花も足を止めて、きょとんとする。
「え、何?」
「いや……」
日向の顔が一気に明るくなる。
「今、好きって言いました?」
「言ったよ?」
「え、マジ?」
「うん」
「……俺のこと?」
「そうだよ?」
日向は完全に舞い上がっていた。
――やっと。
やっと先輩が自分のことを――。
「後輩としてね笑」
「…………」
日向の動きが止まる。
綾花は楽しそうに笑っている。
「松宮くん、ほんと面白いね笑」
「……先輩」
「ん?」
「ずるい」
「え?」
「今のはずるいって」
「何が?笑」
「俺、普通に本気で喜んだんですけど」
「ふふ、ごめんごめん」
「絶対思ってないでしょ」
「思ってるよ笑」
「……ほんとかな」
日向は少し拗ねたように笑った。
綾花はそんな日向を見て、また笑う。
「でも、松宮くんのこと好きだよ?」
「……」
「面白いし、話してて楽しいし」
「……先輩」
「なに?」
「それ以上言ったら、俺ほんとに勘違いしますよ」
「え?」
「なんでもないです」
日向は前を向いた。
――やっぱり。
この人には敵わない。
チャラい言葉ならいくらでも言える。
女の子を口説くことだって、今まで何とも思わなかった。
なのに。
この先輩に「好き」と言われただけで、本気で嬉しくなって。
「後輩として」と付け足されただけで、こんなにも悔しくなる。
「……絶対、振り向かせよ」
「ん?何か言った?」
「何も」
「ふふ、変なの」
綾花が笑う。
その笑顔を見ながら、日向も笑った。
まだ、先輩にとって自分はただの後輩。
それでも。
いつかその「好き」を、違う意味に変えてみせる。
そう、心の中で決めた。



