「りん、はやくー!」
「ちょっと待ってよあや」
教室で荷物をまとめながら、綾花と凛花はいつものように話していた。
「今日さ、聞いてよ〜」
「なに?」
「この前言ってた人から連絡きた」
「え、あの人!?」
「そうそう」
凛花はスマホを見ながら、楽しそうに笑う。
「で、なんて来たの?」
「『今度ご飯行かない?』だって」
「え、いいじゃん!」
「でしょ?」
「いつ行くの?」
「まだ決めてない。あやも一緒に来る?」
「え、私?」
「うん」
「私はいいよ〜、りん二人っきりで楽しんで!」
そんな話をしながら、二人は廊下を歩く。
そのとき。
「あ」
綾花がふと足を止めた。
「どうしたの?」
「昨日話した後輩くん」
凛花が綾花の視線を追う。
少し離れたところに、日向と圭がいた。
「松宮くん?」
「うん」
日向も綾花に気づいた。
「あ、先輩」
軽く手を上げる。
「松宮くん、またね」
「先輩、今から帰るんですか?」
「うん」
「じゃあ一緒に帰りません?」
「ごめん、今日はりんと帰るの」
「そっか」
日向は少し残念そうに笑う。
「じゃあ、また明日」
「うん。またね」
綾花が笑って手を振る。
日向も手を振り返す。
二人が別れたあと。
凛花がぽつりと言った。
「……あや」
「ん?」
「あの子、あやのこと好きじゃない?」
「え?」
綾花がきょとんとする。
「なんで?」
「なんでって……」
凛花は呆れたように綾花を見る。
「毎回可愛いって言ってくるんでしょ?」
「うん」
「彼氏いるか聞かれたんでしょ?」
「うん」
「立候補していいですって言われたんでしょ?」
「うん」
「……それ、好きじゃん」
「えー?」
綾花は首を傾げる。
「でも松宮くんって、チャラそうじゃん」
「まあ、そうだけど」
「だから、冗談かなって」
「いやいやいや」
凛花が足を止める。
「冗談で何回も言う?」
「……言う人もいるんじゃない?」
「いるかもしれないけど、あの子は違うと思う」
「そうかなあ」
綾花は本気で分からないという顔をしている。
凛花は大きくため息をついた。
「……あやってさ」
「なに?」
「ほんっと鈍感だよね」
「え、そう?」
「そう」
「でも私、そんなモテないよ?」
「…………」
凛花は一瞬黙った。
そして、呆れたように笑う。
「それ、本気で言ってる?」
「うん」
「……もういいや」
「え、なんで笑」
「恋バナ大好きな私でも、あやの恋愛だけは難易度高すぎる」
「ふふ、なにそれ」
綾花は楽しそうに笑う。
凛花もつられて笑った。
けれど。
凛花は知っている。
綾花は、自分が思っている以上にモテる。
そして――
さっきの一年生が、ただの「面白い後輩」ではないことも。
「ねえ、あや」
「ん?」
「今度、松宮くんの話もっと聞かせてよ」
「え?なんで?」
「恋バナ好きだから」
「ふふ、りんらしい」
「でしょ?」
二人は笑いながら、夕暮れの廊下を歩いていった。
「ちょっと待ってよあや」
教室で荷物をまとめながら、綾花と凛花はいつものように話していた。
「今日さ、聞いてよ〜」
「なに?」
「この前言ってた人から連絡きた」
「え、あの人!?」
「そうそう」
凛花はスマホを見ながら、楽しそうに笑う。
「で、なんて来たの?」
「『今度ご飯行かない?』だって」
「え、いいじゃん!」
「でしょ?」
「いつ行くの?」
「まだ決めてない。あやも一緒に来る?」
「え、私?」
「うん」
「私はいいよ〜、りん二人っきりで楽しんで!」
そんな話をしながら、二人は廊下を歩く。
そのとき。
「あ」
綾花がふと足を止めた。
「どうしたの?」
「昨日話した後輩くん」
凛花が綾花の視線を追う。
少し離れたところに、日向と圭がいた。
「松宮くん?」
「うん」
日向も綾花に気づいた。
「あ、先輩」
軽く手を上げる。
「松宮くん、またね」
「先輩、今から帰るんですか?」
「うん」
「じゃあ一緒に帰りません?」
「ごめん、今日はりんと帰るの」
「そっか」
日向は少し残念そうに笑う。
「じゃあ、また明日」
「うん。またね」
綾花が笑って手を振る。
日向も手を振り返す。
二人が別れたあと。
凛花がぽつりと言った。
「……あや」
「ん?」
「あの子、あやのこと好きじゃない?」
「え?」
綾花がきょとんとする。
「なんで?」
「なんでって……」
凛花は呆れたように綾花を見る。
「毎回可愛いって言ってくるんでしょ?」
「うん」
「彼氏いるか聞かれたんでしょ?」
「うん」
「立候補していいですって言われたんでしょ?」
「うん」
「……それ、好きじゃん」
「えー?」
綾花は首を傾げる。
「でも松宮くんって、チャラそうじゃん」
「まあ、そうだけど」
「だから、冗談かなって」
「いやいやいや」
凛花が足を止める。
「冗談で何回も言う?」
「……言う人もいるんじゃない?」
「いるかもしれないけど、あの子は違うと思う」
「そうかなあ」
綾花は本気で分からないという顔をしている。
凛花は大きくため息をついた。
「……あやってさ」
「なに?」
「ほんっと鈍感だよね」
「え、そう?」
「そう」
「でも私、そんなモテないよ?」
「…………」
凛花は一瞬黙った。
そして、呆れたように笑う。
「それ、本気で言ってる?」
「うん」
「……もういいや」
「え、なんで笑」
「恋バナ大好きな私でも、あやの恋愛だけは難易度高すぎる」
「ふふ、なにそれ」
綾花は楽しそうに笑う。
凛花もつられて笑った。
けれど。
凛花は知っている。
綾花は、自分が思っている以上にモテる。
そして――
さっきの一年生が、ただの「面白い後輩」ではないことも。
「ねえ、あや」
「ん?」
「今度、松宮くんの話もっと聞かせてよ」
「え?なんで?」
「恋バナ好きだから」
「ふふ、りんらしい」
「でしょ?」
二人は笑いながら、夕暮れの廊下を歩いていった。



