「あなたの知ってる先輩は、こんな芋女じゃないでしょ」
なに、言ってるの。こんなこと言ったら、はい私は一絛ですって認めたようなものじゃない。
逃げたい。消えたい。今すぐ家に帰りたい。
隠れられる場所があるなら隠れたい。
「いいえ。間違いなく、俺が知ってる一絛先輩です」
騒がしい廊下のはずなのに、彼の声だけが、私の耳にハッキリと届く。
いや、仮に私だと見抜いているにしても。
どうして私に話しかけたの?話しかけるメリットは?
ほら、君が私に話しかけたせいで、なんでこんな顔の整った人が、こんな地味な女と関わってるの?とでも言いたそうな視線が周りの女子から私に向かって曲がることなく刺さってくる。
「中学が一緒だった宮村です。俺が一方的に、覚えてるだけなんですけどね」
思い……出した。
確か、私が浮かれて、元カレのそばにいたくてバドミントン部のマネージャーになって、その元カレの後輩の……
【 宮村 澪音 】



