休日の朝。
窓から差し込む光は柔らかく、空は雲ひとつない青だった。
「……晴れてる」
思わず小さく笑う。
雨女の私にしては珍しい、完璧な晴れの日。
今日は、初めてのデートだった。
“どこか行きませんか?”
昨日、帰り道で悠真さんがそう言ってくれた。
その言葉を思い出すだけで、胸が静かに高鳴る。
◇
服を選びながら、私は鏡の前で少しだけ悩んだ。
恋人としての初めてのデート。
何を着ればいいのか分からない。
「……これでいいかな」
淡い色のブラウス。
いつもより少しだけ明るい色。
深呼吸して、玄関を出る。
◇
待ち合わせは、カフェ・ルーチェの前だった。
店の前に着くと、悠真さんがすでに待っていた。
白いシャツに薄いグレーのカーディガン。
いつもより少しだけラフな雰囲気。
「雨宮さん」
笑顔で手を振ってくれる。
その笑顔を見るだけで、胸が温かくなる。
「お待たせしました」
「いえ。早く来たのは僕なので」
少し照れたように笑う。
その仕草が、昨日よりずっと恋人らしく見えた。
「じゃあ、行きましょうか」
「はい」
◇
向かったのは、駅前の小さな雑貨店だった。
ガラス越しに見える店内は、淡い色の雑貨が並んでいて、
どこか絵本の世界みたいだった。
「ここ、好きなんです」
悠真さんが言う。
「意外です」
「よく言われます」
二人で笑う。
店内を歩くと、可愛いマグカップや小さな置き時計が並んでいた。
「これ、雨宮さんに似合いそう」
淡い黄色のマグカップを手に取って、悠真さんが言う。
「え……」
「優しい色なので」
胸が少し跳ねる。
「……可愛いですね」
「ですよね」
二人で同じものを見て、同じように笑う。
それだけで、恋人になった実感がまた少し強くなる。
◇
雑貨店を出ると、風が少し冷たかった。
空は晴れているのに、遠くで雲がゆっくり流れている。
「雨、降るかもしれませんね」
悠真さんが空を見上げる。
「……私のせいかも」
冗談めかして言うと、悠真さんは笑った。
「降ったら降ったで、また相合傘できますね」
その言葉に、胸がじんわりと温かくなる。
◇
次に向かったのは、小さな公園だった。
木々の間を抜ける風が心地よくて、
ベンチに座ると、少しだけゆっくりした時間が流れた。
「雨宮さん」
「はい?」
「今日、来てくれて嬉しいです」
「……私も嬉しいです」
言葉にすると、胸が少し熱くなる。
「恋人としてのデート、どうですか?」
「……まだ慣れないですけど」
「うん」
「でも、桐生さんとなら……」
言いかけて、少し照れる。
「ゆっくり慣れていけそうです」
悠真さんは、静かに笑った。
「僕もです」
その笑顔が、風より優しく感じた。
◇
帰り道。
空は少し曇ってきていた。
ぽつり。
肩に小さな雨粒が落ちる。
「……降ってきましたね」
「ですね」
悠真さんが傘を広げる。
自然な仕草で、私の肩にそっと寄せてくれる。
昨日より近い距離。
雨音が静かに響く。
「雨宮さん」
「はい?」
「またデートしましょうね」
「……はい」
胸がまた静かに満たされる。
雨の帰り道は、今日も優しかった。
◇
部屋に戻ると、レシピノートを開いた。
新しいページに、そっと書く。
『初めてのデートは、雨が少し降ったけれど
それでも全部、幸せでした。』
ページがまた一つ増える。
二人の時間が、また一つ増える。
雨の日も晴れの日も、
恋人になった世界は、静かに優しく広がっていく。
窓から差し込む光は柔らかく、空は雲ひとつない青だった。
「……晴れてる」
思わず小さく笑う。
雨女の私にしては珍しい、完璧な晴れの日。
今日は、初めてのデートだった。
“どこか行きませんか?”
昨日、帰り道で悠真さんがそう言ってくれた。
その言葉を思い出すだけで、胸が静かに高鳴る。
◇
服を選びながら、私は鏡の前で少しだけ悩んだ。
恋人としての初めてのデート。
何を着ればいいのか分からない。
「……これでいいかな」
淡い色のブラウス。
いつもより少しだけ明るい色。
深呼吸して、玄関を出る。
◇
待ち合わせは、カフェ・ルーチェの前だった。
店の前に着くと、悠真さんがすでに待っていた。
白いシャツに薄いグレーのカーディガン。
いつもより少しだけラフな雰囲気。
「雨宮さん」
笑顔で手を振ってくれる。
その笑顔を見るだけで、胸が温かくなる。
「お待たせしました」
「いえ。早く来たのは僕なので」
少し照れたように笑う。
その仕草が、昨日よりずっと恋人らしく見えた。
「じゃあ、行きましょうか」
「はい」
◇
向かったのは、駅前の小さな雑貨店だった。
ガラス越しに見える店内は、淡い色の雑貨が並んでいて、
どこか絵本の世界みたいだった。
「ここ、好きなんです」
悠真さんが言う。
「意外です」
「よく言われます」
二人で笑う。
店内を歩くと、可愛いマグカップや小さな置き時計が並んでいた。
「これ、雨宮さんに似合いそう」
淡い黄色のマグカップを手に取って、悠真さんが言う。
「え……」
「優しい色なので」
胸が少し跳ねる。
「……可愛いですね」
「ですよね」
二人で同じものを見て、同じように笑う。
それだけで、恋人になった実感がまた少し強くなる。
◇
雑貨店を出ると、風が少し冷たかった。
空は晴れているのに、遠くで雲がゆっくり流れている。
「雨、降るかもしれませんね」
悠真さんが空を見上げる。
「……私のせいかも」
冗談めかして言うと、悠真さんは笑った。
「降ったら降ったで、また相合傘できますね」
その言葉に、胸がじんわりと温かくなる。
◇
次に向かったのは、小さな公園だった。
木々の間を抜ける風が心地よくて、
ベンチに座ると、少しだけゆっくりした時間が流れた。
「雨宮さん」
「はい?」
「今日、来てくれて嬉しいです」
「……私も嬉しいです」
言葉にすると、胸が少し熱くなる。
「恋人としてのデート、どうですか?」
「……まだ慣れないですけど」
「うん」
「でも、桐生さんとなら……」
言いかけて、少し照れる。
「ゆっくり慣れていけそうです」
悠真さんは、静かに笑った。
「僕もです」
その笑顔が、風より優しく感じた。
◇
帰り道。
空は少し曇ってきていた。
ぽつり。
肩に小さな雨粒が落ちる。
「……降ってきましたね」
「ですね」
悠真さんが傘を広げる。
自然な仕草で、私の肩にそっと寄せてくれる。
昨日より近い距離。
雨音が静かに響く。
「雨宮さん」
「はい?」
「またデートしましょうね」
「……はい」
胸がまた静かに満たされる。
雨の帰り道は、今日も優しかった。
◇
部屋に戻ると、レシピノートを開いた。
新しいページに、そっと書く。
『初めてのデートは、雨が少し降ったけれど
それでも全部、幸せでした。』
ページがまた一つ増える。
二人の時間が、また一つ増える。
雨の日も晴れの日も、
恋人になった世界は、静かに優しく広がっていく。



