百文字怪奇短編集

「この辺り、『バール男』が出るんです」
 夜道で警官が呼びかけている。バールで女性を襲う強盗らしい。
「あなたのような女性は、特に気をつけて下さいね」
 警官が念を押す。大丈夫ですよ、私が「バール男」なので。

【解説】
 街に現れる通称「バール男」。警官はその正体を男性だと考えているようです。しかし、眼の前の女性が犯人だったようですね。
 被害者が女性ばかりだったのは、その方が彼女にとっても襲いやすかったからかもしれません。とにかく、「バール男」という言葉の印象によって、警官は犯人を取り逃がしてしまいました。