百文字怪奇短編集

 富豪を刺殺した。使用人だった私は第一発見者を装い、すぐ警察に連絡する。
 凶器がない、と騒ぐ警官に告げた。
「では私は無実です。凶器を捨てる暇がない」
 気付く筈あるまい。水槽にガラスの短剣が沈んでいるなんて。

【解説】
 凶器がない、というトリック。実は凶器に使われていたのはガラスの短剣で、水槽の中に隠されていたようです。
 ガラスは、水の中に入れるととても見えづらくなります。凶器を捨てるのではなく、目の前の水槽に隠すことで、犯人は無実を証明しました。