イケメン三兄弟×美少女三姉妹の不器用すぎる甘い恋 ──恋に興味のない私は、姉妹の恋を見守ります。──

急な夕立に見舞われた下校途中。
商店街の軒先に、6人は並んで雨宿りをしていた。
「うわ、すごい雨……。傘、私一本しか持ってないや」
こはるがバッグルをごソゴソと漁りながら困った声を上げる。
「じゃあ、俺のと――」
すかさず声をかけようとした蒼を遮るように、なぜかちはるが元気よく手を挙げた。
「あ、こは姉、私と一緒に帰ろ! 私の傘に入る?」
「え、いいの? ちはる、ありがとう!」
「よし、決まり!」
完璧なタイミングで蒼のチャンスを粉砕したちはるに、蒼は天を仰いで絶望した。
一方、旭はというと、自分の折りたたみ傘を黙って取り出すと、迷うことなくちはるの頭上に差し出した。
「……ほら、濡れるだろ」
「え? 旭は?」
「俺は走るからいい」
「えっ、風邪ひくじゃん! 一緒に入ろうよ、みーちゃんも一緒に――」
「バカ、お前ら二人で入れ。俺は歩と帰るから」
旭は無理やりちはるの手に傘を押し付けると、近くにいた歩の肩を強引に掴んだ。
「おい歩、行くぞ」
「……は? 俺、みはると帰るんだけど」
「いいから来い」
無理やり引きずられていく歩を見送りながら、みはるはげんなりとため息をついた。
「……めんどくさ。青春ごっこも大概にしろっての」
「本当だな。……で、みはる、濡れるからこっち来いよ」
歩が差し出した傘の下に、みはるは文句を言いつつもちゃっかりと収まる。
雨上がりの街並みの中、鈍感な長女に悶絶する長男と、不器用すぎる次男に振り回される次女、そしてそれを冷ややかに見守る末っ子たち。
いつもの変わらない距離感は、今日も少しも縮まらないまま、それぞれの家路へと続いていくのだった。