……そうだ。昨日もこれ、注意されたんだった。
柳さんを呆れさせてしまったことへの罪悪感で、また目頭が熱くなって涙が溢れそうになる。
以前の私なら、こんなことですぐに泣くなんて絶対になかったのに。
「自分が今後、どうしていきたいか。謝る前に、まずは自分の希望をちゃんと伝えねぇと。また苦しむことになるぞ」
……今後どうしたいかなんて、柳さんが決めることじゃない。私がしっかりと自分の意思で決めて、相談をしなきゃいけないんだ。
ぎゅっと拳を握りしめ、深く深く深呼吸をする。
震える声に力を込めて、ゆっくりと、自分の言葉を繋いでいく。
「……できれば、今ある有給を使いながら、少しお休みをいただきたいです。……もし有給を使い切っても復職が難しそうなときは、休職……させてください」
勇気を出して伝えてみたけど、看護師長さんの表情は曇ったままで。看護助手の人数もギリギリだし、きっと私一人でも抜けられたら現場が回らなくなるんだろうな…。
「……うーん、長期的に休まれちゃうのはちょっと困るのよね……。男性患者さんを避けて、女性患者さんだけの対応にするとか、工夫して出勤してもらうことはできないかしら?」
こう言われるんじゃないかって、本当はどこかで分かっていた。人手不足のこの病院で、すんなりお休みをもらうなんて難しいんだって。
確かに、最初から女性の患者さん限定にしてもらえれば、恐怖は少し和らぐかもしれない。
でも――現実はそんなに甘くない。
認知症で混乱している男性や、車椅子を使ってでも無理やり動こうとする男性の患者さんはたくさんいる。
その場に鉢合わせてしまったら、今の私が冷静に対応できるわけがない。
お願いすら届かないんだとしたら、私にはもう、どうすることもできないよ……。



