無口な彼の、静かな執着が甘すぎる。




仕事に対して、こんな罪悪感なんて持ちたくなかったのに。
一度恐怖を知ってしまったこの体は、もう落ち着くことを拒んでいるようだった。




「……いいんじゃね。あんな仕事辞めたって。医者と看護師の奴隷だし、だるすぎるだろ」




不器用な、柳さんなりの慰め……と、勝手に捉えてしまってもいいのかな。




「メンタルすり減らしてまでやる仕事じゃねぇし。もっと向いてるのがあんだろ、長島さんなら」




向いてる仕事……か。
看護助手という仕事がずっと、自分に向いているのだと思っていた。

でも、結局それは「向いていると思いたかった」だけの、私の意地だったんだ。
誰かをサポートすることが好きな気持ちに、嘘はない。


けれど――好きを仕事にしてしまったら、本当に好きだったことすら嫌いになってしまう恐怖を、私は身をもって知ってしまった。

ポロポロと涙をこぼす私の背中を、柳さんは引き離すことなく、ただ静かに抱きしめ続けてくれている。




「とりあえず、今日はこのまま泊まってけ。心配なら俺はビジホにでも行く。明日は一緒に出勤して、今後どうしていくか看護師長と話そう」

「……ごめんなさい。本当に……私、柳さんにまで迷惑を……」

「謝るようなこと、してねぇだろ」




呆れたような、けれどどこか柔らかい声が頭の上から降ってくる。




「そうやって、すぐ自分で抱え込んで謝って解決しようとすんな。後から苦しくなるだけだぞ」




怖いはずの、柳さんなのに。
みんなから「コミュニケーションが取れない」って言われて、避けられている柳さんなのに。

どうして、私にだけそんなに優しいの……?

今こんな風に優しくされたら、余計に安心して涙が止まらなくなっちゃうよ……。

ぎゅっと柳さんの服の裾を掴んで、震える声で必死に言葉を絞り出す。