無口な彼の、静かな執着が甘すぎる。




なんて返事をしよう。
なんて言ったら、角を立てずに終われるんだろう?

どうやったら……私は、休む権利をもらえるの……?




「……看護師長って、冷たいんですね」

「はい?」




俯いて何も言えなくなっていた私のかたわらで、誰よりも先に口を開いたのは、やっぱり柳さんだった。




「俺のこと、散々厄介者扱いしてたくせに。自分だって相当冷たいし、現場の状況をまともに見ようともしてない」

「な、なんですって……っ!?」

「俺が長島さんを引き取ります。なので、本日付で長島さんは退職にしてください」




ちょ……っ、柳さん……!?
何を言ってるんですか……!?

そもそも『引き取る』って、どういう意味ですか……っ!?


心の中は大混乱でパニックを起こしているのに、柳さんを止めようという気持ちは少しも湧いてこない。

ただただ、その綺麗で冷ややかな横顔と、どこかだるそうに、でもハッキリと言い放つ柳さんを見つめることしかできなかった。




「PTSDの疑いがある人間に対して、ましてや医療従事者の立場のくせに休みの許可すら出さないようなゴミな職場、長島さんがここに残る必要性がありません」

「まだ疑いってだけでしょう?そう診断されたわけでもないのに」




……おそらく私も、自分自身がそういう状態なんだろうと、なんとなく予想はついている。

でも確かに、医師に診断されたわけではないし、それを証明する診断書だってない。


また、柳さんに助けを求めるの?
自分では何もできないの……?




「……じゃあ、そうと言わざるを得ない証拠があればいいんですよね」




私の声に、看護師長も柳さんもハッとしたように驚いた顔をした。


……それもそうか。


さっきまで俯いて、ほとんど何も話せなかったんだもの。




「今から、男性患者さんのところへ行きます。そこで私がどうなるのか、ご自身の目で確認してください」