その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂



ポタリ、と赤い血が床に滴る


「レイさん!!!」


多久が絶叫する。レイが傷つく姿なんて、見たくなかった。

しかし、レイは自分の頬の血を指先でそっと拭うと、フッと残酷なほど美しく微笑んだ。


その瞳に灯ったのは、神代との戦いをも彷彿とさせる、本物の「殺気」だった


「……私に傷をつけたこと、あの世で後悔しなさい。」


そこからのレイは、まさに嵐だった


風を切り裂くような凄まじいスピードで敵のボスへと肉薄すると、男が怯む暇すら与えず、渾身の正拳突きをその腹部へと叩き込んだ。


「がはっ……!!」


凄まじい風圧と共に、ボスは数十メートルも吹き飛び、壁に激突してそのまま白目を剥いて倒れ込んだ


ボスがやられたのを見た残りの残党たちは、恐怖で武器を投げ出し、一斉にクモの子を散らすように逃げ出していった


静まり返った倉庫内。


レイは息を乱すこともなく、多久の元へと歩み寄り、縛られていた縄を優しく解いた。


「レイさん……すみません、僕のせいで、こんな……頬に傷まで……っ」


多久が床に崩れ落ち、涙を流して謝罪する。


非力な自分が情けなくて、申し訳なくて仕方がなかった。