その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂


指定された廃倉庫。中央の椅子に縛り付けられた多久は、全身傷だらけになりながらも、必死に耐えていた


周りには金属バットや鉄パイプを持った『蛇咬』の男たちが三十人以上、下劣な笑みを浮かべて待ち構えている


「おい、本当にあの女総長は一人で来るんだろうな?」


「来なけりゃこのガキの指を一本ずつ――」


その瞬間、


ガガガァァァン!!


凄まじい轟音と共に、廃倉庫の鉄扉が吹き飛んだ
砂煙の中から現れたのは、ライトの逆光を背負い、風に髪をなびかせる九条レイの姿だった


「ひっ、本当に一人で来やがった……!」


男たちが一瞬、その圧倒的な美しさと気高さに気圧される


「総長……っ! 来ちゃダメです、罠です……!!」


多久が涙を流して叫ぶが、レイは一歩、また一歩と、ヒールの音を響かせて男たちの真ん中へと歩みを進める


その表情には、恐怖など一ミリも存在しなかった。