同じ頃、黒曜のガレージ。
いつもの定位置で冷徹に夜空を見つめていたレイの元に、一ノ瀬が血相を変えてバイクで滑り込んできた
「総長! 申し訳ありません! 私の不徳の致すところです……! 安全圏にいるはずの多久が、隣街の『蛇咬』の連中に拉致されました! 奴ら、総長を一人で指定の廃倉庫へ呼び出せと……っ」
一ノ瀬は悔しさに歯を食いしばり、床に拳を叩きつける。
蓮や陸も武器を手に取り、目を血走らせていた
「俺たちも行きます! 奴ら、全員ブチ殺して多久を取り戻す!」
しかし、レイは座っていた椅子から静かに立ち上がると、ガラスのように冷酷で美しい瞳をさらに冷たく細めた
その全身から放たれる凄まじい威圧感に、ガレージの空気が一瞬で凍りつく
「……一ノ瀬さん、蓮さん、陸さん。あなたたちはここに残りなさい。これは、情報係として私の直属に置いた多久さんを、守りきれなかった私の責任です」
「でもレイ、一人では危険すぎる!」
颯太がすかさず引き止めるが、レイは特攻服の襟を正し、冷然と言い放った
「私の価値を決めるのは、あのような雑魚どもではありません。私の大事な仲間に指一本でも触れた代償がどれほど重いか……その骨の髄まで、私の拳で直々に教えてあげます」
爆音を響かせ、レイの漆黒の単車が夜の街へと消えていった。



