「んぅ……っ」
再び彼によってお互いの唇が重ねられ、唇を割って侵入してくる彼の舌が、口内の甘みを貪るように激しく絡みつく。
息ができないほどの熱情と、全身に回りきったアルコール。
限界を迎えた私の身体から、すうっと力が抜けていく。
こんなの、絶対におかしくて。
全てにおいて完璧なエリート社長が、こんな平凡な一般社員を相手にするなんて、あり得ないはずのことなのに。
考えることも、彼の拘束から逃げようとすることも───全てにおいて、脳がそれを否定した。
(結局、汚してしまったシャツは洗ってないし、コーヒーを淹れ直せ、とか言ってたくせに、自分はワインを持ってきて……社長はいったいなにを考えているんだろう)
────なんて、代わりに頭の中をぐるぐると渦巻くのは、関係のないことばかり。
唇がわずかに離れた瞬間、社長は私の耳元に顔を寄せ、低く、熱い吐息とともに囁いた。
「───もう、誰にも返さない。お前は……俺だけのものだ、雛乃──────」
その決定的な言葉が鼓膜を揺らした直後、私の頭の中は真っ白に染まった。
心地よい熱の海に深く沈んでいくように、私はゆっくりと、意識を失っていった────……
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