大きな声に何事かと振り向くと
扉の前で若い女性が目を見開いて立ち尽くしてた、
女性は黒いドレスの上に真っ白なフリルたっぷりの
エプロンをつけている。
あの姿はもしや……。
「あ! メイドさん!」
メイドが生で見られるなんて、
初めての経験だ。
やっぱりここはどこかの高級ホテルで
メイド服姿の従業員なのかもしれない。
でも客室に、ずかずか入ってくるのは
どうなのだろう……?
訝しく思いながらも、
何も分からない今の私にとっては救いの神。
この人に聞けば自分の置かれている状況が、
色々分かるかもしれない。
「あの~……」
声をかけた途端、
メイドさんはビクリと肩を震わせて一歩後ずさった。
「あ……め、目が覚めたのですね!?
すぐに、すぐに人を呼んできます!」
「え? は、はぁ……?」
私の返事を聞くや否や、
メイドさんは回れ右をして
バタバタと廊下へ走り去ってしまった。
「何処へ行ったんだろう?
……でも誰か呼びに行く前に
まずは着替えをしておきたかったなぁ」
自分の着ている、
ひらひらのネグリジェをじっと見下ろす。
「よし、とりあえず自力で着替えを探そう」
幸いドレッサーの隣には高級感漂う
幅広のワードローブが置かれている。
「きっとここに着替えが入ってるはず」
当たりをつけて取っ手を掴んだ。
ガチャッ!
大きな音を立てて扉を開けた瞬間。
「……え!?」
私は驚きで目を見開いた。
「な、何これ……ドレス、だよね……?」
目の前に現れたのは色鮮やかなドレスの山。
まるでお色直しのときに着るような、
淡い紫やピンク色。
鮮やかなブルーにオレンジといった
フリルたっぷりの衣装が、
ハンガーにぎっしりと吊り下げられていた。
もしかして今日って私の結婚式?
だから、さっきの人も私を「奥様」って呼んだ?
だが、その直後に素朴な疑問が湧いてくる。
「あれ……? お色直しの意味って何だっけ?」
自分で口にしておきながら、
なぜかその言葉の意味が分からない。
それになぜ、
ここを結婚式場だと思い込んだのだろう?
「おかしいな……?」
自分の名前も素性すら一切
思い出せないというのに、
どうして妙な専門用語だけは
スラスラ口から出てくるのか。
首を傾げて腕を組んでいると、
廊下のほうから再びバタバタと慌ただしい
足音が近づいてきた。
もしかして、さっきのメイドさんが
誰かを連れてきたのかな?
部屋の入口に視線を向けた時――
「「「奥様っ!!」」」
ドッと、部屋の中に雪崩れ込んできたのは
十人以上の男女だった。
「ヒャアッ!?」
せいぜい一人か二人程度だと
高をくくっていただけに、
私は思わず情けない悲鳴を上げる。
女性は全員メイド服。
男性はビシッとしたモーニング姿。
そんな彼らの前に立つ私は寝間着姿。
……ちょと、というか。
かなり恥ずかしいのですけど……。
何だか見世物にされているような
気持になってくる。
彼らは横一列にズラリと並ぶと、
一斉に鋭い視線を向けてきた。
……って、待って。
何か目が怖くない!?
「あ、あの~?」
冷や汗を流しながら口を開いたとき。
白髪交じりで恰幅の良い年配女性が、
ズイッと一歩前に歩み出た。
「奥様」
その声は凍てつくように冷たく、
圧倒的な迫力があった。
「は、はい……!」
自分が本当に「奥様」なのかなんて
全く分からないけれど、
反射的に返事をする。
「まったく……本当に、
とんでもなくご迷惑な方ですね」
女性は私を射抜くような目で睨みつけると、
ため息をついた――
扉の前で若い女性が目を見開いて立ち尽くしてた、
女性は黒いドレスの上に真っ白なフリルたっぷりの
エプロンをつけている。
あの姿はもしや……。
「あ! メイドさん!」
メイドが生で見られるなんて、
初めての経験だ。
やっぱりここはどこかの高級ホテルで
メイド服姿の従業員なのかもしれない。
でも客室に、ずかずか入ってくるのは
どうなのだろう……?
訝しく思いながらも、
何も分からない今の私にとっては救いの神。
この人に聞けば自分の置かれている状況が、
色々分かるかもしれない。
「あの~……」
声をかけた途端、
メイドさんはビクリと肩を震わせて一歩後ずさった。
「あ……め、目が覚めたのですね!?
すぐに、すぐに人を呼んできます!」
「え? は、はぁ……?」
私の返事を聞くや否や、
メイドさんは回れ右をして
バタバタと廊下へ走り去ってしまった。
「何処へ行ったんだろう?
……でも誰か呼びに行く前に
まずは着替えをしておきたかったなぁ」
自分の着ている、
ひらひらのネグリジェをじっと見下ろす。
「よし、とりあえず自力で着替えを探そう」
幸いドレッサーの隣には高級感漂う
幅広のワードローブが置かれている。
「きっとここに着替えが入ってるはず」
当たりをつけて取っ手を掴んだ。
ガチャッ!
大きな音を立てて扉を開けた瞬間。
「……え!?」
私は驚きで目を見開いた。
「な、何これ……ドレス、だよね……?」
目の前に現れたのは色鮮やかなドレスの山。
まるでお色直しのときに着るような、
淡い紫やピンク色。
鮮やかなブルーにオレンジといった
フリルたっぷりの衣装が、
ハンガーにぎっしりと吊り下げられていた。
もしかして今日って私の結婚式?
だから、さっきの人も私を「奥様」って呼んだ?
だが、その直後に素朴な疑問が湧いてくる。
「あれ……? お色直しの意味って何だっけ?」
自分で口にしておきながら、
なぜかその言葉の意味が分からない。
それになぜ、
ここを結婚式場だと思い込んだのだろう?
「おかしいな……?」
自分の名前も素性すら一切
思い出せないというのに、
どうして妙な専門用語だけは
スラスラ口から出てくるのか。
首を傾げて腕を組んでいると、
廊下のほうから再びバタバタと慌ただしい
足音が近づいてきた。
もしかして、さっきのメイドさんが
誰かを連れてきたのかな?
部屋の入口に視線を向けた時――
「「「奥様っ!!」」」
ドッと、部屋の中に雪崩れ込んできたのは
十人以上の男女だった。
「ヒャアッ!?」
せいぜい一人か二人程度だと
高をくくっていただけに、
私は思わず情けない悲鳴を上げる。
女性は全員メイド服。
男性はビシッとしたモーニング姿。
そんな彼らの前に立つ私は寝間着姿。
……ちょと、というか。
かなり恥ずかしいのですけど……。
何だか見世物にされているような
気持になってくる。
彼らは横一列にズラリと並ぶと、
一斉に鋭い視線を向けてきた。
……って、待って。
何か目が怖くない!?
「あ、あの~?」
冷や汗を流しながら口を開いたとき。
白髪交じりで恰幅の良い年配女性が、
ズイッと一歩前に歩み出た。
「奥様」
その声は凍てつくように冷たく、
圧倒的な迫力があった。
「は、はい……!」
自分が本当に「奥様」なのかなんて
全く分からないけれど、
反射的に返事をする。
「まったく……本当に、
とんでもなくご迷惑な方ですね」
女性は私を射抜くような目で睨みつけると、
ため息をついた――



