(だ、誰!? この人!)
目の前に現れたのは、モーニング姿に口ひげを生やした巨漢の男性。
まるで山のように私の前に立ちはだかっていた。
「あ、あ、あの……?」
カタカタ震えながら見上げると、男性が会釈する。
「おいでになられましたか、奥様。旦那様は既にお待ちになっております」
「へ?」
首を傾げると巨漢男性がスッと左に避け、部屋の中間――
テーブルの前に座る夫の姿が現れた。
「あ、は、はい」
サササッと素早い動きでテーブルに向かうと、既に銀色のドームカバーがいくつも乗っている。
フフフ……きっと、あの蓋を開ければ湯気立つ美味しい料理が現れるのね?
あ、あの丸いパンもおいしそうじゃない。
じーっと食事を見つめていると、「おい」と向かい側から声をかけられた。
「へ?」
顔を上げると、夫が心底軽蔑したような眼差しで私を見つめている。
そうだ、お礼を言わなくちゃ。
「この度は食事を用意していただき、ありがとうございます」
軽く会釈すると、再び料理を見つめた。
ゴクリ
思わず喉が鳴った。
(これ、全部私が食べていいんだよね?)
巨漢男に声をかけた。
「あの、すみません。早速私の部屋に料理を運ぶのを手伝っていただけますか? 冷めたら味が落ちるので」
「「は??」」
巨漢男と、夫が同時に首を傾げる。
「おい、運ぶとは……一体どういうつもりだ?」
夫が声を震わせて私を指さす。
「え? だから、自室に持って帰って食べようかと……」
「おまえ! 何を言ってる! 一緒に食べるから招いたんだろう!」
「え……でも私の顔、見るのも嫌ですよね? だって『もう、うんざりだ』って言ったじゃないですか?」
変なことを言う人だ。
「う……そ、それとこれとは別だ! 大事な話があるから……と、とにかく座れ! お前がいつまでも立っていると給仕だってできないだろう?」
大事な話……きっとアレのことだ!
「あ、そうですね。なら座ります」
いつまでもお預けされるのも限界だし。
自分でガタンと椅子を引くと、ストンと座る。
(う~ん、位置が悪いな)
腰を浮かせて立ち上がり、座面を両手で抱えて移動すると座り直した。
そんな私を、ポカンと口を開けて見つめる夫。
「あの~何か?」
早く食事したいのですけど。
「……何でもない、用意してくれ」
憮然とした表情で、夫は巨漢に声をかけた。
「かしこまりました」
巨漢男は頷くと、 次々とドームカバーを外していく。
スパイシーな香りを放つ肉料理。
香ばしい匂いが漂う魚料理。
湯気の立つクリーミーなスープ。
等々、合わせて八皿の料理が目の前に現れた。
「わぁ~すごい! 美味しそう!」
向かい側からは突き刺さるような視線を感じるけど、今の私は少しも気にならない。
大事なのは栄養、目の前の食事なのだ。
名前すら知らない夫など、どうだってかまうことはない。
全てのカバーが外されると、私はバッと顔を上げた。
「あの、食べていいですか!?」
「あ? あ、あぁ。まあ、いい……」
「いただきます!」
フォークとナイフを素早く手に取ると、私は早速肉料理から食べることにした。
切り分けると、ソースがたっぷりかかった肉料理を口に運ぶ。
(う~ん、美味しい! ジューシー! 最高!)
もう一口!
夢中で食べ続けていると、夫が話しかけてきた。
「おい、お前……今朝、執務室で言っていた話だが……本気でここを出ていくつもりなのか?」
「え?」
顔を上げると、夫の顔には勝ち誇ったような冷たい笑みが浮かんでいた――
目の前に現れたのは、モーニング姿に口ひげを生やした巨漢の男性。
まるで山のように私の前に立ちはだかっていた。
「あ、あ、あの……?」
カタカタ震えながら見上げると、男性が会釈する。
「おいでになられましたか、奥様。旦那様は既にお待ちになっております」
「へ?」
首を傾げると巨漢男性がスッと左に避け、部屋の中間――
テーブルの前に座る夫の姿が現れた。
「あ、は、はい」
サササッと素早い動きでテーブルに向かうと、既に銀色のドームカバーがいくつも乗っている。
フフフ……きっと、あの蓋を開ければ湯気立つ美味しい料理が現れるのね?
あ、あの丸いパンもおいしそうじゃない。
じーっと食事を見つめていると、「おい」と向かい側から声をかけられた。
「へ?」
顔を上げると、夫が心底軽蔑したような眼差しで私を見つめている。
そうだ、お礼を言わなくちゃ。
「この度は食事を用意していただき、ありがとうございます」
軽く会釈すると、再び料理を見つめた。
ゴクリ
思わず喉が鳴った。
(これ、全部私が食べていいんだよね?)
巨漢男に声をかけた。
「あの、すみません。早速私の部屋に料理を運ぶのを手伝っていただけますか? 冷めたら味が落ちるので」
「「は??」」
巨漢男と、夫が同時に首を傾げる。
「おい、運ぶとは……一体どういうつもりだ?」
夫が声を震わせて私を指さす。
「え? だから、自室に持って帰って食べようかと……」
「おまえ! 何を言ってる! 一緒に食べるから招いたんだろう!」
「え……でも私の顔、見るのも嫌ですよね? だって『もう、うんざりだ』って言ったじゃないですか?」
変なことを言う人だ。
「う……そ、それとこれとは別だ! 大事な話があるから……と、とにかく座れ! お前がいつまでも立っていると給仕だってできないだろう?」
大事な話……きっとアレのことだ!
「あ、そうですね。なら座ります」
いつまでもお預けされるのも限界だし。
自分でガタンと椅子を引くと、ストンと座る。
(う~ん、位置が悪いな)
腰を浮かせて立ち上がり、座面を両手で抱えて移動すると座り直した。
そんな私を、ポカンと口を開けて見つめる夫。
「あの~何か?」
早く食事したいのですけど。
「……何でもない、用意してくれ」
憮然とした表情で、夫は巨漢に声をかけた。
「かしこまりました」
巨漢男は頷くと、 次々とドームカバーを外していく。
スパイシーな香りを放つ肉料理。
香ばしい匂いが漂う魚料理。
湯気の立つクリーミーなスープ。
等々、合わせて八皿の料理が目の前に現れた。
「わぁ~すごい! 美味しそう!」
向かい側からは突き刺さるような視線を感じるけど、今の私は少しも気にならない。
大事なのは栄養、目の前の食事なのだ。
名前すら知らない夫など、どうだってかまうことはない。
全てのカバーが外されると、私はバッと顔を上げた。
「あの、食べていいですか!?」
「あ? あ、あぁ。まあ、いい……」
「いただきます!」
フォークとナイフを素早く手に取ると、私は早速肉料理から食べることにした。
切り分けると、ソースがたっぷりかかった肉料理を口に運ぶ。
(う~ん、美味しい! ジューシー! 最高!)
もう一口!
夢中で食べ続けていると、夫が話しかけてきた。
「おい、お前……今朝、執務室で言っていた話だが……本気でここを出ていくつもりなのか?」
「え?」
顔を上げると、夫の顔には勝ち誇ったような冷たい笑みが浮かんでいた――



