恋を知らないきみへ

「……申し訳なさすぎる」

つぶやきながらも、一応そのまま送信した。


すると、間を置くことなく返信。

【了解。今日は三回に分けて打ち合わせしよう。都度連絡よろしく】

あまりにもあっさり承諾されてしまい、肩の力が抜けてしまった。

……三回。

思わずチャットを見返してしまう。
昼休み、夕方、夜。

本当に、全部合わせるつもりなんだ。
昨日は冗談半分だと思っていたのに。


「ほのか、おっはよー!」

気を抜いていたところに、元気な桃果の声で一気に現実に引き戻された。

「あ、おはよう」

総務部の桃果が朝から営業部に来ているのは珍しい。
手になにか書類を持っているので、どうやらなにか用事があるらしかった。

このフロアへ来て早々、彼女はキョロキョロと辺りを見渡して首をかしげる。

「部長ってまだ来てない?」

「……えーっと」

立ち上がってホワイトボードの予定表を見ると、朝一で会議が入っていた。

「あ、会議行ってる。戻りは十時予定だよ」

「書類届けに来たんだけど、お願いしてもいい?」

「分かった。私も午前中は外回りだから、先輩に頼んでおくよ」

「助かる〜」