恋を知らないきみへ

スイッチが入ったみたいに何度もキスされて、心臓の音がだいぶうるさい。

合間にひとつだけお願いした。

「……あと最後」

「まだあるの」

「おでこ、見せて」

その言葉に、不意をつかれたみたいな顔をした木ノ下くんがフリーズする。
そしてゴホッとひとつ咳をすると、濡れた前髪を手で上げてくれた。


「……小関さんって変態なの?」

「違うよ、木ノ下くんフェチ!」

「ははっ、そんなこと言われたの、生まれて初めてだ」

「私も人生で初めて言った。……細かくて引いた?」


さすがに何個も何個も間髪入れずに言ったから、だいぶ引いてしまったのではと心配していた。

でも、木ノ下くんは「いや」と首を振って笑ってくれた。


「全然引いてないよ。──じゃあその要望を守るから、俺からも一個いい?」

「うん!なんでも言って!」

「ずっとそのままでいてほしい」


……その言葉は、たぶん彼が口にした言葉の中で、どれよりも一番甘いと思った。