恋を知らないきみへ

「……小関さん。顔に出てる」

「なにが?」

「なんだろう、なんていうか、お花畑感が出てる」

的確な指摘に思わず口元が緩む。

「……私、このままだと木ノ下くんが女の子と話してるの見ただけで妬くかも」

「は?どの口が言ってるの?」

「え?なんで?」

小競り合いになりかけたところでエレベーターが到着し、歩き出すことでまた距離ができてしまった。


完成した資料を会議室の机に並べて、ペットボトルのお茶と水もそれぞれ並べた。

木ノ下くんがパソコンとプロジェクターをつなぎ、私はスクリーンに映し出された一枚目を確認する。


「映ってる?」

「うん。次、資料のページ順だけもう一回見よう」

「了解」

二人で資料をめくりながら、ページ番号を指差しで確認していく。

「一、二、三……」

「十五、十六、十七……」

「三十五。よし、大丈夫」

ようやく二人同時に小さく息を吐いた。


廊下の向こうから、人の話し声が近づいてくる。

間もなく九時半。 役員会議のために、関係者が集まり始めたらしい。


顔を見合わせ小さくうなずくと、役員と入れ替わるように会議室をあとにした。




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