私と木ノ下くんはほぼ同時に振り向いた、と思う。
振り向いた時にはすでに、すぐそばに他部署の男性社員がいた。
身長はそこそこあって、私よりもたぶん年上。
……でも、誰なのか分からない。
「お疲れ様です……?」
つい疑問形で挨拶したら、その男性は一歩さらにこちらへ近づいてきた。
「お疲れ様です!俺のこと、覚えてる?」
──あ、やばい。まったく記憶にない。
正直に言うべきか迷っていると、あちらからペラペラと話し続ける。
「やっと見つけたよー!ずっと探しててさ。だいぶ前に声かけたの覚えてないかなぁ?俺、システム部の野口です」
『システム部の野口』と聞いてもまったく思い出せなくて、でもそれを顔に出したら相手が傷つくかもしれないと思うと反応に困る。
とりあえずこの場ではどう返すのが正解か考えていると、先に反応したのは木ノ下くんだった。
「……あ」
ものすごく微妙な声が後ろで聞こえたので彼を見やると、木ノ下くんはすぐに目を逸らしてしまった。
「やっぱりガッツリ仕事で関わらないとなかなか覚えられないよねぇ、ごめんごめん」
野口さんはヘラッと笑ってまた一歩詰めてくる。
同時に私は一歩後退する。
「小関さん、千崎と別れたんでしょ?」
どストレートすぎる質問に、もはや声も出なかった。
なにより気になるのが、すぐそばでこのやり取りを聞いている木ノ下くんだ。
怖くて彼の顔を見られない。
『会社になにしに来てるの?』
そう冷たく言われたのを、今でも覚えている。
振り向いた時にはすでに、すぐそばに他部署の男性社員がいた。
身長はそこそこあって、私よりもたぶん年上。
……でも、誰なのか分からない。
「お疲れ様です……?」
つい疑問形で挨拶したら、その男性は一歩さらにこちらへ近づいてきた。
「お疲れ様です!俺のこと、覚えてる?」
──あ、やばい。まったく記憶にない。
正直に言うべきか迷っていると、あちらからペラペラと話し続ける。
「やっと見つけたよー!ずっと探しててさ。だいぶ前に声かけたの覚えてないかなぁ?俺、システム部の野口です」
『システム部の野口』と聞いてもまったく思い出せなくて、でもそれを顔に出したら相手が傷つくかもしれないと思うと反応に困る。
とりあえずこの場ではどう返すのが正解か考えていると、先に反応したのは木ノ下くんだった。
「……あ」
ものすごく微妙な声が後ろで聞こえたので彼を見やると、木ノ下くんはすぐに目を逸らしてしまった。
「やっぱりガッツリ仕事で関わらないとなかなか覚えられないよねぇ、ごめんごめん」
野口さんはヘラッと笑ってまた一歩詰めてくる。
同時に私は一歩後退する。
「小関さん、千崎と別れたんでしょ?」
どストレートすぎる質問に、もはや声も出なかった。
なにより気になるのが、すぐそばでこのやり取りを聞いている木ノ下くんだ。
怖くて彼の顔を見られない。
『会社になにしに来てるの?』
そう冷たく言われたのを、今でも覚えている。



