恋を知らないきみへ

ようやく全員がいなくなったところで、桃果が長くて深いため息をついた。

「ほらぁ、それ見たことか!」

「……みんな、噂好きだよね」

「そりゃほっとかないよ〜、ほのかのこと好きな男はそこらじゅうにゴロゴロいるんだもん。千崎さんのバリアなき今がチャンス!」

「違うよ。興味本位なだけでしょ」


興味なのか、好意なのか、冷やかしなのか、なにも分からない。
嫌われているよりはマシだと思うけれど、今の私は前とはまた違う気持ちもある。


好きな人に好きになってもらえないなら、これ以上つらいことはない。
それだけだった。


半分ほど残った、すっかり冷めたオムライスを見て、小さく息をついた。

『昼休みなのに休めてないじゃん』

───木ノ下くんなら、そう言うだろうな。


こんな時にまで考えてしまうなんて、私もだいぶ重症だなと思う。


「……ほのか。しばらく続くよ。ファイト」

まるで他人事みたいに面白げに笑う桃果に、私は曖昧にうなずくしかなかった。



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