恋を知らないきみへ

「……だめだ、正解が分からない」

ものすごく小さくつぶやいて、頭を抱える。


──さっきから私、なにやってるんだろう。

要領の悪すぎる思考回路に、もはや笑えてきた。


「小関さーん!ちょっとここ見てもらえませんかー?」

いつの間にいたのか、すぐ後ろに後輩の子が立っていて、頭を抱えていた私の肩をポン、と叩いてきた。

驚きすぎて仰け反る。

「わぁっ!ごめん!なに!?」

めちゃくちゃ変な声が出て、しかも咄嗟にチャット画面を最小化してしまった。

「えっ!?す、すみません!取り込み中でしたか!?」

「あ、いや!ぜ、全然!大丈夫!」


私は咳払いをして座り直し、後輩が手に持っていた書類に手を伸ばす。

「ごめんごめん、見るよ」

「ここの資材費用なんですけど──」

後輩から渡された書類に目を通しながら、自分に言い聞かせる。

……ちゃんと仕事に集中しないとだめ。


とりあえず後輩にアドバイスしてから、何度か座り直して、ようやくチャット画面を開く。


【お疲れ様です。

上記の件、今日中に送るね】

キーボードで深く考えないようにしながら打って、そのまま送信した。

素っ気なかったかな、と心配になっていると、すぐに木ノ下くんからまたメッセージが来た。


【ありがとう】

という、短い一言だけ。


それを見つめたまま、頬杖をついて思わず笑ってしまう。

「……私より素っ気ない」

肩の力が抜けて、小さく息を吐いた。




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