恋を知らないきみへ

次に映し出されたのは、モデルプランの間取りだった。

今度は設計部の担当者が、前回から変更した箇所を説明していく。

「ランドリールームについては、作業台を造作せず、市販品を置ける寸法を確保しました。ただ、その分、入口側の収納が少し浅くなっています」

「使い勝手に問題は?」

素早く部長が尋ねると、想定していたのか担当者もすぐに答えた。

「普段使いの洗剤やタオル程度なら十分ですが、掃除道具までまとめて入れるのは難しいです」

「そうか。……収納スペースの大きさはお客様が気にするところだからな。営業としてはどう思う?」


また視線がこちらへ集まった。
図面の寸法を、資料で確認しながら考える。

「そうですね……。掃除道具は、必ずしもランドリールームになくてもいいと思います。ただ、洗剤のストックを置く場所は、正直もう少し欲しいです」

「収納を広げると、どうしても通路幅が狭くなるんですよね」

私の意見を受けて、設計担当者が図面を指さした。

「この幅だと、引き出しを開けた時に人が通りにくくなります」

「じゃあ、収納の奥行きを増やすんじゃなくて、高さを使うことはできますか?」

「可動棚を上まで入れる形ですか?」

「はい。上の方は毎日使うものではなく、ストックを置く場所にするのはどうでしょうか?」

「ストックか」と設計担当者がうなずきながら、図面に書き込んでいく。