恋を知らないきみへ

……自分ではまったく気づかなかった。

いつも通りに楽しんだつもりで、いつも通りに笑っていたつもりで、いつも通りに過ごしていたつもりだった。

でも、侑樹さんはそうじゃないと思ってこうしてまた誘ったんだ。


「……仕事、頑張りすぎてるんじゃないの?」

ポンと肩に乗せられた手が、ゆっくりと抱き寄せてくる。
これも、いつものことだ。

どんなに蒸し暑くても、彼はこうして私との距離を縮める。


その手に、自分の手を重ねるのは違う気がして。

代わりに笑った顔を彼に向けた。

「仕事しないでグータラしてたら、干からびちゃう」

「ほのかは大丈夫だよ。いつも綺麗だ」

「……そんなことないよ」


本当に、そんなことないのに。

頭では言いたいのに、今それを言ったら困らせる気がして、言えなかった。




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