恋を知らないきみへ

「ちょっとー。小関さんの隣ずっと座ってますよね?そろそろ私と代わってください」

「やだね。こういう時じゃないとお近づきになれないじゃん」

「私も近づきたい!」

みんなどのくらい飲んでいるのか。
私の隣に誰が座るかで揉め始めたので、慌てて間に割って入る。

「みんなで楽しく飲みましょう!ね!」

それを聞いた女性が頬を膨らませる。

「……ほらー、小関さんだけオトナ」

「小関さん、自覚ないだろうけどほんとに男女関係なくみんなに好かれてるんだよー」

そんなことを言われても、まったく気づきもしなかった。
ただ、“周りに恵まれているな”とか“みんな優しいな”くらいの感覚だった。


「無自覚の人たらし。いい意味でね!」

設計部の人にそう言われて、そういえば前に桃果にも似たようなことを言われたことを思い出した。

……“人たらし”って。そんなつもりはまったくないのに。


「木ノ下さんばっかりずるいです、このブランドって小関さんと木ノ下さんで詰めてたんですよね?どのくらい話し合ったんですか?」

広報部の女性がハイペースでビールを浴びるように飲みながら、離れたところで話し込んでいる木ノ下くんへと視線を送る。

「一ヶ月以上……かな?」

「私もこのブランド、ゼロから参加したかったですー!小関さんと二人で作りたかったー!」

ぺたっと私の肩になだれ込んできたので、彼女はだいぶ人懐っこい……というか、もう酔ってる?

「広報部から見ても、小関さんって人気なんですよ!」

「……え?どうして?」

「顔よし、性格よし、成績よし!ここだけの話、広報部長は小関さんを狙ってたんですから。営業から広報に来てほしいーって」

「聞いたことないよ、そんなの」

「営業部長が離さなかったんですよ〜」