新ブランドの進捗状況は、順調だった。
週に二、三回の会議や、部署ごとの細かな話し合いを重ねながら、少しずつ前進していた。
その日、午後一番から始まった打ち合わせは、思っていた以上に濃い内容になった。
大会議室のホワイトボードには、広報が書き出したキーワードが並び、その隣には設計部が描いた間取りのラフ案。
「ここをランドリールームにすると、収納が減るんですよね」
設計部の担当者が図面を指さすと、商品企画部の担当者が腕を組んで首をかしげる。
「価格帯を考えると、この仕様を標準にするのは厳しいかもしれません」
「じゃあオプション化にします?」
「いや、それだと今回のコンセプトから離れる気がしますね」
会議は行き詰まることもあれば、誰かのひと言で一気に進むこともある。
それぞれが違う部署だからこそ、見る角度も違う。
営業はお客様を見る。
設計は家を見る。
広報は伝え方を見る。
商品企画は価格を見る。
その全部が合わさって、ひとつのブランドになっていく。
そんな感覚だった。
「営業としてはどうですか?」
不意に広報担当の女性がこちらを見て意見を求める。
私は資料へ目を落としながら口を開いた。
「収納が増えること自体は嬉しいと思うんです。でも、お客様が本当に欲しいのは収納じゃなくて、片付けに追われない毎日なんですよね」
「うーん……、なるほど」
「だから収納量を数字で見せるより、『帰ってきて五分で片付く』とか、『朝バタバタしない』とか、暮らしが想像できる伝え方の方が響くと思います」
週に二、三回の会議や、部署ごとの細かな話し合いを重ねながら、少しずつ前進していた。
その日、午後一番から始まった打ち合わせは、思っていた以上に濃い内容になった。
大会議室のホワイトボードには、広報が書き出したキーワードが並び、その隣には設計部が描いた間取りのラフ案。
「ここをランドリールームにすると、収納が減るんですよね」
設計部の担当者が図面を指さすと、商品企画部の担当者が腕を組んで首をかしげる。
「価格帯を考えると、この仕様を標準にするのは厳しいかもしれません」
「じゃあオプション化にします?」
「いや、それだと今回のコンセプトから離れる気がしますね」
会議は行き詰まることもあれば、誰かのひと言で一気に進むこともある。
それぞれが違う部署だからこそ、見る角度も違う。
営業はお客様を見る。
設計は家を見る。
広報は伝え方を見る。
商品企画は価格を見る。
その全部が合わさって、ひとつのブランドになっていく。
そんな感覚だった。
「営業としてはどうですか?」
不意に広報担当の女性がこちらを見て意見を求める。
私は資料へ目を落としながら口を開いた。
「収納が増えること自体は嬉しいと思うんです。でも、お客様が本当に欲しいのは収納じゃなくて、片付けに追われない毎日なんですよね」
「うーん……、なるほど」
「だから収納量を数字で見せるより、『帰ってきて五分で片付く』とか、『朝バタバタしない』とか、暮らしが想像できる伝え方の方が響くと思います」



