恋を知らないきみへ

人はみんな、親切だ。


「肌、綺麗だよね。どこのスキンケア使ってるのー?」

「なに食べたい?ほのかの行きたいとこでいいよ!」

「そっち自転車来るから危ないよ。こっち側おいで」

「小関先輩って、絶対モテますよね?」


───私が、なにも言わなくても。


「荷物重くない?持ってあげるよ」

「まつ毛長っ!」

「韓国料理好きなんだねー!今度食べに行こうよ!」


───こうしてほしいと言わなくても。


「小関さんって受付じゃないんですか?営業なんですか?」

「グラス空いたけど、追加で頼もうか?」

「ほのか、ランチ行こー」

「小関さんは美人な上に仕事もできるんだねぇ。先方からも評判いいよ」


───普通に過ごしてるだけなのに。

みんな、親切だ。




「ほのか、俺のこと好き?」

いま目の前にいる彼も、毎回そう聞いてくるけれど。
なにが不安なのかよく分からない。

私は、ちゃんと彼のことを見ているのに、好きなのに。


「うん。ちゃんと好きだよ」


───好きになろうって、ずっと思ってる。



“好き”って、“恋”って、なんなんだろう。