触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

 ◇

 自室へ戻り、リュックのチャックを開ける。

 帰りがけに駅前の雑貨屋で買ったばかりの、淡い桜柄の便箋。
 それを冷えた指先で取り出し、静かにペンを走らせた。


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 航へ

 もうすぐ、春だね。
 今年の夏はやっぱり、そっちには行けないことになったよ。

 寂しいけど、お互い受験頑張ろうね。

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 翌朝、通学路にあるいつもの赤いポストへ、その封筒を落とした。


 それから、二日後のこと。
 返事の手紙が届くよりも先に、航から着信があった。

 そして――受話器の向こう側から発せられた言葉に、自分の耳を疑うことになった。