触れられなくても、君がいい。


 それからの時間は、告白の返事を待つときよりもずっと恐ろしかった。

 もし、航がこの手紙を読んで、私の未練を感じ取ったら。
『気持ちに応えられないから、もう文通はやめよう』と、唯一の繋がりを断たれてしまったら。

 そう考えると、夜も眠れないほどだった。

 航と、恋人になれなくてもいい。
 ただ、繋がっていたい。
 文字だけでもいいから、彼の言葉がほしいのだ。


 二週間後。
 レターボックスに、ブルーの封筒が届いた。

 すがるような思いで開いた便箋には、変わらない穏やかな返事が書かれていた。
 私を『友達』として受け入れてくれた証のように思えた。

 綺麗な文字を見た瞬間。
 大粒の涙が、便箋にぽたりと落ちた。

 悲しみではなく、深い安堵からくるものだった。

 気づかれないように、こっそりと好きでいるだけなら、いいかな。

 消えない想いを抱いて、眠りについた。