触れられなくても、君がいい。

 ◇

 その日の夜。
 家族が寝静まったあと、布団にすっぽりと潜り込み、声を殺して泣いた。

 暗闇の中でひとり、枕を濡らし続けた。

 翌日。
 腫れた目を冷水で冷やし、いつものレターセットを広げた。

 涙の跡なんて微塵も感じさせないような、明るい文字を紡いだ。


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 航へ

 聞いてくれてありがとう。
 これからも、友達ではいてくれたら嬉しいな。

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 そして、そのあとには、いつも通りの何気ない話題を便箋二枚分、書き連ねた。

 重くならないように。
 彼が返事に困らないように。

 必死に取り繕って、ポストへ投函した。