触れられなくても、君がいい。


 明かした想いへの返事を待つ日々は、これまでとはまったく違うものだった。

 溢れ出した勢いで綴った言葉を、そのままポストに投函してしまうなんて。
 そんな大胆な自分がいたことに、一日経つごとに驚きが増していく。

 僅かな望みもある一方で、後悔や不安もよぎる。
 レターボックスを開けるのも、母に声をかけられるのも、こわくなっていた。

 ◇

 手紙を送ってから、いつもよりも多くの日数が経った夕暮れ。
 学校から帰り、祈るような気持ちでマンションのエントランスに入った。

 無機質な金属のレターボックス。
 恐る恐るダイヤルを回し、小さな扉を開く。


 そこには――見慣れたブルーの封筒が、ぽつんと横たわっていた。