宿へと続く、急な階段。 夏帆を支えるようにしながら、ゆっくりと上っていく。 「……あ。誕生日プレゼント、さっき渡し忘れた」 二人の部屋のクローゼットの中に、隠したままだ。 「へへ。今年はなんだろー」 「戻ったら、渡すわ」 「うんっ。楽しみ」 ずっと変わらない波音が、二人の背中をふわりと押してくれたように感じた。