触れられなくても、君がいい。


 愛おしさに耐えきれなくなり、そのままベッドへダイブした。

 仰向けになり、便箋を天井のライトにかざす。

 バランスの取れた、綺麗な文字。
 最低でも二枚の便箋をびっしりと埋めてしまう私に対し、航からの文章はいつも短く、数行で終わってしまう。
 けれど毎回、十日以内には必ず返事をくれる。
 中学生の男の子が文通に付き合うなんて、絶対に面倒なはずなのに――。


「……お母さんっ。この前の大会の写真、航に送りたいんだけど!」

 便箋を大切に抱いたまま起き上がり、リビングへ声を投げた。

「えー? 一枚しか買ってないわよー?」

「いいの、送るの!」

 自分が一番写りのいいものを選ぶため、朝から晩まで悩み抜いた。
 五日後、いつも通りの長い文章とともに、彼の住む海辺の街へ写真を送ったのだった。