無口な君は、誰よりも綺麗だった。

私たちも、その背中に続いた。

ステージへ上がる。

眩しい照明。

目の前には、たくさんのお客さん。

思わず足が止まりそうになる。

それでも私は、それぞれの定位置へ向かった。

ギターを肩に掛ける。

マイクスタンドの前へ立つ。

そして、ゆっくりと目を閉じた。


(私は……。久しぶりに、人前で歌う。)


正直まだ怖い。

手も少し震えている。

それでも…。

私は隣にいる高杉くんへ視線を向けた。
高杉くんは私を見ると、何も言わずに優しく頷いた。

その笑顔は、まるで言っているみたいだった。

――大丈夫。

(高杉くんは……私を見つけてくれた。)

屋上で、一人きりだった私を。

人前で歌うことを諦めていた私を。

ステージまで連れてきてくれた。

だったら、今日の私にできることは一つ。

(Astralのライブを、絶対に成功させる。)

(そして……。
この音を、次へ繋げる。)

私は小さく頷き返した。

その様子を見た紗羅ちゃんも、にこっと笑って親指を立てる。

朝倉くんも静かに頷く。

もう、誰も不安そうな顔はしていなかった。

四人の気持ちは、一つになっている。

私は深く息を吸う。

ギターを構え、マイクへ顔を向けた。

(さあ――。始めよう、最高のステージを!)