無口な君は、誰よりも綺麗だった。

「よし!」

先生は手を叩きながら笑った。

「今日のところはこれで終わりにしよう、みんなお疲れ!」

「気をつけて帰れよー!」


「「ありがとうございました!」」


先生が音楽室を出ていく。

俺たちも楽器を片付け始めた。

シールドを外す音。

ケースを閉じる音。

さっきまで響いていた音楽室は、いつもの静かな空間へ戻っていく。

その時だった紗羅がにこにこしながら園崎さんのところへ歩いていく。

「あっ、園崎さん!」


「……?」


「そういえば、ちゃんと自己紹介してなかったよね!」


紗羅は胸に手を当て、にぱっと笑った。


「私、白石紗羅だよ〜好きに呼んでね!」


園崎さんは少し驚いたように目を瞬かせる。

「……園崎、詩です。」


小さく頭を下げる。


「よろしくお願いします。」


「うんっ! よろしくね!」


「私は”紗羅”でいいから! 敬語もいらないよ?」


「……。」

園崎さんは少し困ったように視線を泳がせる。


「……まだ、難しいです。」


その一言に、紗羅は吹き出すように笑った。

「あははっ、そっか!
じゃあ、それはゆっくりでいっか!」


「少しずつ仲良くなろ!」


そう言って紗羅は自然に笑いかける。


その笑顔につられたのか。


園崎さんの口元も、ほんの少しだけ柔らかくなった。