無口な君は、誰よりも綺麗だった。

廊下で目立てば、また周りに何を言われるか分からない。

私はぎゅっとギターケースの肩紐を握りしめる。


「…………先に行ってくれないと。」


少しだけ間を置いて続けた。

「もう今日は、行きません。」


「えっ!? それは嫌だ!」


高杉くんは慌てたように両手を振る。


「わ、分かった!俺が先に行く!
だからちゃんと来てよ?」


「……絶対だからね!」


そう言うと、高杉くんは小走りで音楽室へ向かっていった。

「……。」


その背中を見送り、小さく息を吐く。

(……騒がしい人。)

思ったことが、そのまま口から出る人。


だけど、不思議と嫌じゃなかった。


むしろ――


少しだけ、安心する。

私は5分ほど時間を空けてから、ゆっくりと音楽室へ向かった。