無口な君は、誰よりも綺麗だった。

(また……。)


(私の歌、誰かに届けられるのかな。)


小さい頃から、歌うことが好きだった。


歌っている時間が、一番幸せだった。


ギターを始めたのは、お姉ちゃんの影響。


隣で楽しそうに弾く姿がかっこよくて、気づけば私も夢中になっていた。


だけど今は――。


「……。」


私は机の上に置いてあった譜面をそっと手に取る。


その横には、高杉くんから受け取った音源。


ヘッドホンを耳につけ、再生ボタンを押した。


静かに目を閉じる。


余計なことは考えない。


ただ、音だけに集中する。


♪────。


数秒後、耳へ飛び込んできたメロディーに、小さく目を開いた。


(……綺麗。)


透明感があって、どこまでも爽やかな曲。

歌詞は飾らなくて、真っ直ぐ。

前を向こうとする気持ちが、そのまま音になったみたいだった。