無口な君は、誰よりも綺麗だった。

気づけば、あっという間に時間が過ぎていた。

店内の時計を見ると、針は18時を指している。


「もうこんな時間……。」


私がぽつりと呟くと、隣にいた飛鳥がゆっくり立ち上がった。


「そろそろだな、詩帰るよ。」


「え……。」


少し名残惜しくなりながらも頷く。


「うん。」


私はカウンターの向こうにいる頼くんへ向き直った。

「頼くん、今日は本当にありがとう
パンケーキ、すっごく美味しかった…。」

そう伝えると、頼くんは嬉しそうに笑った。


「どういたしまして、またいつでもおいで。
園崎さんなら、大歓迎だから。」


その優しい言葉に、自然と笑みがこぼれる。


「うん、また来るね。」


頼くんは笑顔で頷いてくれた。

私は手を振りながら、お店を後にする。

「じゃあね、頼くん。」


「うん、園崎さんまたね。」


チリン。

扉のベルが鳴り、外へ出る。

夕焼けに染まった街並みが、昼間とは違う優しい色に包まれていた。


その時。

「行くよ、詩。」


隣で飛鳥が当たり前のように歩き出す。


「送る。」


私は慌てて首を横に振った。

「えっ、いいよ!ここから家、そんなに遠くないし!」


すると飛鳥は小さく笑って立ち止まる。

「……じゃあ言い方を変えるわ。」


「え?」


飛鳥は私をまっすぐ見つめた。


「俺が詩と一緒にいたいから、送らせて。」


「……っ。」


一瞬、言葉を失う。

その言い方は反則だ、
こんなの断れるはずがない。

私は少しだけ照れながら、小さく笑った。