無口な君は、誰よりも綺麗だった。

だから――。


俺が勝手に決めて。

勝手に離れて。


「守ったつもり」になっていただけなんだ。


拳をぎゅっと握る。


「やっぱり……このままじゃ駄目だ。」


この三週間。


音楽が全く楽しくない


笑うことも減った。


音を合わせても、どこか足りない。


それはきっと。


そのちゃんがいないから。


「俺は……。」


小さく息を吸う。


「やっぱりそのちゃんの側にいたい、そのちゃんの側で音楽をやりたい。」


「ずっと、一緒にいたい。」


その気持ちは、もう誤魔化せなかった。


だったらやることは一つ。


「舜と紗羅にもう一度話そう。」


そして――。

「奈々とも、ちゃんと向き合わなきゃ。」


逃げちゃいけない。

もう二度と。

そのちゃんを泣かせたくないから。


俺は席を立つ。

伝票を持ってレジへ向かい、会計を済ませる。


カラン、とカフェの扉を開けると、夕暮れの風が頬を撫でた。

オレンジ色に染まる空を見上げながら、小さく呟く。



「待ってて、そのちゃん。
今度はちゃんと……迎えに行くから。」


そう心に誓い、歩き始めた。