(違う。)
頭の中で否定が浮かぶのに、口には出せなかった。
苦しい。
息をするたびに胸が痛い。
飛鳥くんはゆっくりとカップを置いた。
カチャン――。
その音が、やけに鋭く耳に刺さる。
「それが高杉くんの本心なんだ?
……なんか、がっかりした。」
その一言で、反射的に顔を上げてしまう。
飛鳥くんの目は、怒っているわけじゃない。
ただ静かに、失望だけが沈んでいた。
「がっかりも何も……。」
言いかけて、言葉が詰まる。
喉が乾いて、うまく声が出ない。
「そもそも飛鳥くんには関係ないだろ。」
無理やり押し出した声は、少し震えていた。
飛鳥は小さく息を吐く。
その息に、わずかな疲れが混じる。
「確かに、俺には関係ない。」
一度視線を落とし、それからまた俺を見る。
「でも。」
その一言で、空気が変わる。
「詩はAstralのみんなと音楽をやることを、心の底から楽しんでた。」
「……っ。」
胸の奥が、鈍く痛む。
飛鳥くんの声は淡々としているのに、言葉だけが重い。
「たくさん笑って、心から音楽を楽しんで。
俺が見てきた中で、一番生きてるって顔をしてた。」
飛鳥くんは少しだけ目を細める。
遠くを見るような視線。



