飛鳥くんは少し驚いたように目を丸くしたあと、ふっと小さく笑った。
その笑みは一瞬だけ柔らかく見えたのに、次の瞬間にはどこか距離のあるものに変わる。
「やっぱりね、でも安心して。
今日は高杉くんに恋のライバル宣言をしに来たわけじゃない。」
「……え?」
思わず声が漏れる。
胸の奥が、嫌な予感でざわついた。
飛鳥くんの表情から笑みがすっと消える。
代わりに、真っ直ぐすぎる視線が俺に突き刺さった。
その表情に逃げ場がない、と直感する。
「俺が今日話したいのは――」
一拍。
わざと置かれたような沈黙。
その間に、俺の呼吸だけがやけに大きく聞こえた。
「Astralから詩を追い出したことだ。」
「……っ。」
喉が詰まる。
息を吸うのを忘れたみたいに、胸が一瞬止まった。
「なんで、それを……。」
声が掠れる。
視線を逸らしたいのに、飛鳥くんの目がそれを許さない。
飛鳥くんは何も急がないまま、コーヒーカップを持ち上げた。
静かに一口飲む。その動作すら、妙に落ち着いていて怖い。
カップがテーブルに戻る音が、小さく響いた。



