無口な君は、誰よりも綺麗だった。

そのちゃんがいなくなってから。

こんなにも全部が変わってしまうなんて。

笑い声も。

演奏も。

みんなの表情も。

何より――。

俺自身が笑えなくなった。


(どれだけ、そのちゃんの存在に救われてたんだろう。)


胸が締めつけられる。


俺は静かにベースをケースへしまった。


「……帰ろ。」


学校を出て時計はまだ午後16時を少し回ったところ。

夕方には早く、夏の日差しはまだ眩しかった。


いつもなら、そのちゃんたちと寄り道したり、次のライブの話をしたりしていた時間。


でも今は、一人。

ゆっくりと正門へ向かって歩いていると――。

「ねえ君、高杉くんだよね?」


「……え?」

苗字で呼ばれるのは久しぶりだった。

振り返ると、そこには見覚えのある人物が立っていた。

整った顔立ち。

落ち着いた雰囲気。

夏フェスで見たLuna novaのキーボード担当。

たしかそのちゃんが”飛鳥”と呼んでいた人だった。