無口な君は、誰よりも綺麗だった。

「ち、違くて……今日手が、」


「そんな気分ならもう帰りなよ。」


次の瞬間。

ドンッ。

「きゃっ……!」


奈々が紗羅の肩を軽く押した。

バランスを崩した紗羅の身体が後ろへ傾く。


「紗羅!」


舜がすぐに駆け寄り、その身体を支えた。


「大丈夫か?」


「……う、うん。ありがとう舜。」


震える声で頷く紗羅。


その姿を見た瞬間。


俺の中で何かが切れた。


「奈々。」


低い声が、自分でも驚くほど冷たかった。

奈々がこちらを見る。

「何?今のはやりすぎだろ、紗羅に謝れ。」


音楽室が静まり返る。

奈々は信じられないという顔で俺たちを見回した。

「……は?なによ、その目。
みんな私を責めるような顔して。」


「悪いのは私って言いたいの?」

誰も答えない。

沈黙だけが返ってくる。

奈々は苛立ったようにバッグを掴んだ。

「あーもう!なんかムカつく!
今日の練習は終了!」


「もう帰る!」