無口な君は、誰よりも綺麗だった。

紗羅は窓際でぼんやり外を眺めている。

舜も椅子に座ったまま、黙ってスティックを握りしめていた。

2人とも。

そのちゃんがいなくなってから、笑わなくなった。

あんなに笑いに包まれてた音楽室から笑い声が消えた。

そんな重苦しい空気なんて気にもせず。

奈々だけが明るく手を叩く。

「さーて!奏も来たし、練習しようか!」

その笑顔を見ても。

誰一人、笑い返すことはなかった。

俺は黙ったままベースケースを開き、ベースを取り出す。

チューニングを始める。

カチッ。

カチッ。

静かな音だけが響く。

その時だった。

「……私。」

紗羅が小さく口を開く。

ぎゅっと自分の手を握り締めながら。

「今日……見学するね。」

か細い声だった。

俺はすぐに頷こうとした。

「うん、無理しなくて――」

そこまで言いかけた時。

「はぁ?」

奈々が立ち上がる。

「せっかく集まってるのに見学?どういうこと?」

「紗羅、音楽舐めてるの?」


音楽室の空気が一気に凍りつく。

紗羅は肩を震わせながら俯いた。