声にならない
ただ涙だけが止まらない。
本当は、
本当は……ずっと誰かに聞いてほしかった。
怖かったねって。
悲しかったねって。
「大丈夫」って言ってほしかった。
「頑張ったね」って言ってほしかった。
本当は……。
こんな風に甘えたかった。
「……。」
飛鳥の温かさに包まれながら、ふと思う。
(奏くんにも……。抱きしめてもらいたかったな。)
そう思ってしまった自分に気づいて、少しだけ胸が苦しくなる。
奏くん。
紗羅ちゃん。
舜くん。
あの音楽室。
あの笑顔。
「ずっと一緒にいよう」
そう言ってくれた場所。
失いたくなかった。
「……ごめん。」
小さく呟く。
飛鳥が少しだけ体を離す。
「なんで謝るんだよ。」
「私……。迷惑ばっかりかけてる。」
すると飛鳥は、少し困ったように笑った。
「詩は昔から変わらないな。」
「……え?」
「自分が辛い時まで、周りのことばかりだ。」
「今くらいは、誰かに頼れ。
詩が誰かを助けてきた分、今度は詩が助けられる番だ。」
その言葉にまた涙が溢れた。



