ゆっくりお風呂に入らせてもらった。
体に残っていた雨の冷たさも、少しずつ消えていく。
飛鳥が用意してくれた部屋着に着替えて、鏡を見る。
「……大きい。」
袖も少し余っている。
でも。
なぜか少し安心するような、不思議な温かさがあった。
私はお風呂場を出て、リビングへ向かう。
「あの……お風呂、ありがとうございました。」
キッチンに立っていた飛鳥が、こちらを見る。
「あーおかえり。ココア飲む?」
「……うん、ありがとう。」
その優しさに、胸がじんわり温かくなる。
(……。)
でもその時ふと
奏くんの顔が浮かんだ。
(奏くんも……きっと同じことするんだろうな。)
そう思ってしまったことは。
今は忘れることにした。
◇
しばらくして。
「ほら。」
飛鳥が温かいココアを置いてくれる。
「熱めにしてるから、気をつけて飲めよ。」
「うん……ありがとう。」
私はカップを両手で包む。
温かい。
甘い。
それだけなのに。
なんだか涙が出そうになった。
「……。」
ゆっくり飲んでいると。
飛鳥がソファーから立ち上がった。
そして何かを持って戻ってくる。



